三原氏物語

賢くて可愛くて、誰もが憧れる無敵の障害者を目指すアラサーの闘病記

春なのに人生の夏休みが終了し、失業の危機に瀕している

嫌な予感が的中した。もう、社会人の夏休みは終わりだ・・・

 

雑談

ここは東京の丸の内・大手町界隈。幾多の大企業の本社ビルが乱立する、日本最大級のオフィス街。コロナが流行り始めた頃、ちょうど勤めていたパン屋が改装工事に入ったのもあり、大学の授業料を確保するためにもパン屋の副業として、今の小売の店舗でバイトをすることにした。

 

丸の内のパン屋とは違って、一応大卒のエリート達が中心の客層であるこの店は、圧倒的に楽だった。理不尽な要求もなければ、ただレジを売って代金をもらうだけでパン屋以上の給料が貰えた。アタイの勤める小売は、一応それなりの規模で展開しているチェーン店の一つに過ぎない。それでも時給は都内でもかなり高いほうで、しかも客数も少ないので明らかに暇でやることがなく、楽だった。

 

何度も言っているように、週4で出勤して労働時間は週30時間程度。それだけで一ヶ月生活するのと、ちょっとだけ贅沢をする程度の給料が貰える。アクセスに関しても、ほぼ自宅からドアトゥドアで40分程度。夢のような待遇だった。

 

しかし、そんな「社会人の夏休み」と呼ばれるこの店舗も、そう長くは保たなかった・・・。

 

 

 

 

3月31日。いつも笑顔の優しい表情をした上司(店長の上の役職)が、店に来た。どうせ売り場がなっていないとか、ここを改善しろとかそういう話をしに来たのだろうと思っていた。しかし、スタッフ一人一人が呼び出されて、従業員の控室に吸い込まれる。戻ってきたスタッフ達は皆暗い表情で、何か激しく怒られたのかと最初は思っていた。

 

ついに自分の番が来て、開口一番でこう告げられた。

「この店、○月一杯で閉店となります」

 

ちょうどこの前日、アタイのブログ『三原氏物語』のアクティブログの部分で、「いつまでこの夏休みが続くのか」みたいな話をしていた。正にタイムリー。

永遠に感じられたイージーモードの接客業は、バキバキにヒビが入って砕け散って消える。

 

オフィスビルに入居しているだけあって、客層はさっきも書いた通りエリートサラリーマンが中心。アフター5を過ぎれば客などほとんど来なく、掃除と商品の陳列くらいしかやることがない。まぁこのくらい暇なんだもんな、そりゃいつか閉店するだろう。とは覚悟していたが、まさかそういうことをブログに書いた翌日にマジで閉店すると告げられるとは思わなかった。

 

今の自分は「夏休みの宿題が終わらず、徹夜で始業式ギリギリまで粘る状態の10時間前」のようなものだと書いた。それが残りの営業期間内に、今後をどうするか決めなければならない、始業式まであと7時間くらいの切羽詰まった状況に立たされた。

 

今になって思えば、格段に楽な店舗だった。日曜はビルが閉まっているから店舗も休み。祝日もビルが閉まるから、店舗は休み。正月と盆もビルが閉まっているから休み。その分、シフトと祝日が重なった日は出勤が出来ないから給料は減るが、人間らしく休みをとることが可能だったと実感している。

 

別にウチの小売に限ったことではないが、業界の多くは人手不足。ウチの店舗は暇すぎて人員が有り余るから、他所の店舗に応援に行って小遣いを稼ぐこともしばしばあった。まさかそうした店にこれからお世話になるかもしれないとは、全く予想出来なかった。

 

バイトの身分ならば、店が潰れたらそこでクビかと思いきや一応救済措置はある。近隣の人手不足の店舗に所属させてもらうという形だ。黒字の店舗。聞こえは良いが、裏を返せばそれだけ忙しい店だというのが手にとるように分かる。

 

今の職場は周到に頭を使って選びぬいた立地である。それに合わせて今の住居がある。利得を最大化させるためだ。そして無駄な通勤時間を無くすため。

 

オフィスビルだからこそ、毎日定時に帰れて、日曜も祝日も休みなのが約束されていた。ところが、通常の店舗は24時間営業、年中無休が普通なのである。どこが普通なんだよ、異常でしかねぇよ。

 

それでも近所のスーパーでバイトをするよりも、時給は200円ほど高い。飲食とは違って保険にも加入出来るし、厚生年金も払う。年に一度の健康診断もあるし、バイトにしては随分と丁重に扱ってくれる感じはある。

 

しかしながら、今後別の店舗に移動となると、間違いなく自分の人権は無くなる。今まで通り週4勤務の30時間労働で済むかもしれないが、残念ながら盆も正月も祝日も関係なく、シフトに則ってその曜日が来たら必ず決められた時刻に出勤する人生に突入する。

 

百貨店の初売りでもあるまいし、元旦に店を開ける必要なんかあるのかよと文句を言いたくなる。特にこれから世話になるかもしれない店舗の近隣に初詣関連の神社が近くにあるわけでもなく、何か連休中に全国から人が集まって盛り上がるようなライブ会場があるわけでもない。それでも元旦も、盆も開店している。いっそのこと、緊急事態宣言が今でも続いていりゃいいのに、と本気で思う。

 

 

 

死にたくなってきた。

大手町のビル風に身を吹かれ、どこか一流企業の社員になったつもりでいたのかもしれない。ここよりまともな人間が来るであろう客層の場は、アタイには想像がつかない。

 

今までの接客業で経験した数々のトラウマが蘇ってくる。自分が何をしに来ているのか分からねぇババア、「いつもの」とタバコの注文するヤニカスの老害、小銭を投げてくるクズ、会計を早くしろと急かしてくる生産性のない馬鹿、日本語の分からない女、いつも不機嫌なおっさん。

 

唐突に自分の店舗が閉店すると告げられて、どうしたらいいのか分からない。他の店舗に移動になれば、間違いなくこうした迷惑な客に毎日頭を下げることになるのは手にとるように分かる。

 

閉店までの猶予期間にアタイがすることは何か。第一に思いついたのが、これから所属するかもしれない店舗の下見だった。次に思いついたのが、区役所の障害者担当への相談。心の底から生活保護に頼りたいと思っている自分がいる。

 

今、自分は最高に試されている。このまま今の企業に所属をし、キツイながらも精神をすり減らして辛うじて生きていける程度の賃金と福利厚生の恩恵を受けるか。

 

それとも残された期間で一念発起し、就活をするか。

 

楽な仕事に甘んじていたせいで、社会で通用しない人材に成り下がった。忙しさに適応出来ない、ストレスの耐性もない、かと言って休日に何かしらの努力をするわけでもない。

 

大企業の本社ビルの中にテナントとして入っているウチの店舗。潰れた最大の原因がその高すぎる賃貸料だった。

今の職場に勤めて3年しないくらい。毎年春のこの時期には、新入社員が大学の延長みたいなノリでウキウキしながらヒールで街を闊歩する。ランチはどこにしようか、今夜飲み会あるけど、行かない?そういった話で盛り上がっている。ある意味若さがある。

 

ところがゴールデンウィークを過ぎると、服装がリクルートスーツのような画一化された格好からオフィスカジュアルへと変わる反面、皆揃って目が死んでいく。これから何十年も働く人生が待ち受けている。幾らきらびやかなロケーションでも、ずっといれば飽きるに決まっている。もう近隣の飲食店は一通り利用して、それでも何ら変わりの無い同じ日々が続くだけ。配属先が決まるからなのか、ゴールデンウィークを過ぎるとどういうわけか社員の数が減る。都心に向かう電車が人身事故で遅延が多発するのも決まってこの時期だ。

数百万の年収を貰っていても、幸せじゃねぇな。と深く理解したつもりでいた。

 

 

そういう現場を毎年俯瞰してきた。まさか、今年の春に新入社員よりも先に自分が精神的に死ぬとは思わなかった。

 

そうした新入社員がウチの店を利用する度に「あの店、マジで活気なくない?」と陰口を言う予感がする。そりゃそうさ、もう時期潰れるんですもの。

 

一応店舗は連休明けくらいまでは営業しているから、今年はゴールデンウィークがある。しかし、それを過ぎると後はもうひたすらシフトに則って毎週、毎月、同じ曜日に出勤する運命が待ち受けている。

 

有給休暇を上手く利用すれば、今年のゴールデンウィークは10連休になる。それにも関わらず、何の予定もない。人生最後の連休になるのかもしれないのに、特に行きたいところもやりたいこともないのである。

 

というか、今までもこれだけゆとりのある労働環境に恵まれていたのに、何一つ成せなかった自分がいる。せいぜい大学を卒業した程度だ。

 

一体自分はこれからどうしたらいい?って、どうしようもねぇんだよ。

 

一応個人事業主だけれど、それだけじゃやっていけないからバイトで食いつないでいたんじゃないか。ずっとやりたかったことをやろう!って意気込んで再度カフェで働く?保険証を取り上げられて、国民年金を支払ったらリアルに生きていけなくなる。

 

新年度早々にして、これから先待ち受ける未来に何一つ希望が見いだせない。春なのに、人生の夏休みが終わりを告げた。

 

積み上げられた未処理の宿題の山を前に、今、孤独で無能な精神障害者が一人、絶望している。

 

 

 

ってなわけで、

 

アクティブログ(活動記録)

閉店を告げられた翌日は土曜。エイプリルフールだったわ。嘘だろオイって言いたくなるくらいのハードスケジュール。オープンからクローズまでの拘束ならばまだしも、途中抜け出して他店舗への4時間の応援に。

 

ここもアホみたいに暇で、自分はスタッフが休憩を回すための埋め合わせとしてレジをやるという内容だった。たった4時間が永遠に感じられたよ。しかも前日に「閉業」のコール。頭の中はずっとそのことばかりで、「ここの店舗に移動になったら・・・つまらねぇなぁ」と青ざめていた。

 

つーか移動時間が地味に休憩を兼ねていて、アタイの休憩はどうでもいいのかよって少しキレ気味だった。応援に来てやったにも関わらず、ここのスタッフはどいつも捻くれていて愛想も悪い。言い忘れたが、店舗毎にも地味なルールや独自のサービスなどを展開していたりして、そういった説明もほとんど無かった。二度と来るか糞。

 

大概の店が、まぁここよりも愛想は良くても「よくもこんなにつまらねぇ人間ばっかり集めたな」とビックリして何かの賞を与えたくなるような無味乾燥な人間ばかりで、応援に行って一番イヤなのが面白い人間が一人も存在しないことなのよ。

 

なんとか4時間の応援を経て、憔悴しきって自分の店舗に戻る。それからまた閉店まで店に存在するだけ。まだ自分の店にいると落ち着く。いるだけで給料が貰える。でも、それももう時期終わり。

 

思い出せば土曜はオープンからクローズまで、一切座っていなかったような気さえする。立ち仕事をやっているから、まだ自分はある程度健康なんだと思っているが、あまりにもキツイ。帰宅したら頭痛がした。

 

そして日曜。

「家の片付けをするから、実家に帰ってこい」と母親の命令。実家のアタイの部屋にある書籍を少しずつ処分せよと。

 

仕方ないからトランクを持っていって、売れそうな本だけ回収するつもりでいたら、最近母親が断捨離ブームらしくて、粗大ごみを家から運び出すのを手伝わされた。帰ってくるんじゃなかった。また頭痛がする。

 

今日は自宅で丸一日使って今後の人生について一生懸命考えようと思っていたら、よりによってアメリカから帰国中の叔母(母親の姉)に誘われて、浅草の方へ。

日本食が食べたいというから、近くにある立ち食いの寿司屋に入った。まともな寿司を食べるのは何年ぶりだろう、ちょっと幸せになった。ごちそうになったが、金額を見て「アタイじゃ一生ここに来れねぇな」としんみりした気分になる。

 

そのあとは一緒にかっぱ橋の道具街に行ってみた。数々の調理器具の専門店がひしめいている。コーヒー器具の専門店もあって、いつか買おうと思っていた形状のドリッパーをそこで購入した。思ったよりも安い。

 

そんなかっぱ橋にオシャレなカフェがあって、そこでフラットホワイトを飲んで解散した。

時間的にはまだ14時だったから、銭湯にでも行けば気分転換になるとは考えたけれど、のんびりと湯に浸かっているような心の余裕がなかったから真っ先に帰宅。

 

家に着いて急に孤独な気分になり、「2連休が終わろうとしている・・・明日から仕事だ・・・」と憂鬱な気分になっている。さっき高い寿司をごちそうになったせいか、あまり食欲が無くてストロングゼロを飲んでいたら、また頭痛がした。

 

次の休みには頭の病院に行く予定が入っており、それだけで半日が終わる。余力があればハローワークか区役所に行って相談するつもりでもいるが、ここ最近ようやくポジティブになってきたと思ったのに、現在進行形で早く死にたいと思っている自分がいる。

 

社会人の夏休みが終わりを告げた。これから先、食うには困らない程度の稼ぎで一生、死ぬまで働くのだろうか。仕事があるだけ有難い、そう自分に言い聞かせ、心のどこかでは周囲で雑魚を見つけて「アイツよりかはまだマシだ・・・」と勝手にマウントをとって人生が終わっていくのか。

 

くそ、結局今の職場も3年程度で終わっちまった。どうも人生というか、運命が同じ場所には3年以上いるなと告げているような感覚がある。

 

 

じゃ、今回はこの辺で。